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オリバーツイスト

Oliver
★☆☆☆☆
監督/ロマン・ポランスキー

映画の日に行ってきました。オリバー少年、かわいらしすぎ。雰囲気もすごく良いし、汚いイギリスの裏路地、泥道がすごくリアルでした。

このストーリーの解釈として、「オリバーは逆境に負けず、純粋であり続けたからこそ幸せをつかんだ」というものがありますが、私はこれに納得できません。特に、善悪概念が、単純な勧善懲悪ではくくれない複雑さで描かれています。

まず、1番の問題は「盗賊団の親分や、子供たちは悪なのか?」ということです。彼らはオリバーにとって初めてやさしくしてくれた人、初めてほめてくれた人です。それ以前は人間としての扱いを受けていません。しかし、オリバーを仲間にし、盗みを強要する姿勢は完全に悪です。しかも、自分たちを悪だと認識していない悪です。しかし、この悪は明らかに貧困から生まれた悪であって、自分の欲望のための悪ではありません。私には、1番の悪として描かれているビルも、完全な悪ではない気がしました。彼もまた貧困の犠牲者なのです。むしろ、判事や、警察官、孤児院の管理者などのほうが、問答無用の悪として描かれています。ここでのメッセージは「貧困こそが悪である」ということでしょうか。

2つ目の問題は、「では、オリバーは貧困にありながら、なぜ悪に落ちずにすんだのか」です。私はオリバーは単にラッキーだっただけではないかと思います。少なくとも、自分で運命を引き寄せたわけではありません。もし、盗賊団でうまくやっていけていたら、彼は立派な盗賊になったでしょう。ほめられて、仲間に入れてもらえれば嬉しい。オリバーの心は単純です。オリバーにとって、自分を受け入れてくれる場所は、どこでも良かったはずです。「純粋な心を持ち続けたから」お金持ちに受け入れてもらえたというのは、詭弁です。あんな世界で純粋に生きていれば、普通死にます。盗賊団の子供たちとオリバーの違いは、運があったかなかったかだけでしょう。

以上のように、この映画には、「貧困が人を悪に誘うのであって、人は悪くない。悪いのは貧困だ」というメッセージと、しかし、「オリバーは貧困に負けずに運をつかんだ」という矛盾したメッセージが含まれている気がします。結局は「貧困に負けて悪に落ちること」こそが悪なのでしょうか?この論理では人間は全て悪になってしまう気がします。

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