かいじゅうたちにるところ

Where
2009/アメリカ

大好きな絵本がこんなにクオリティの高い映画になったなんて,嬉しくて嬉しくてずっと見たかった映画です。その期待に背かず,原作をうまくふくらませたな,と思います。もっとも素晴らしいと思ったのは「かいじゅう」に対する新しい解釈です。

原作では「かいじゅう」の存在は主人公の少年のフラストレーションのはけ口のためのファンタジーでしかありませんでした。絵本という表現の限界ともいえます。一方で,映画では「かいじゅう」に新しい存在意義を与えることに成功しています。

「かいじゅう」の存在意義とは何か。少年にとって不満だらけの「現実」を反映させた「仮想現実」です。映画では「かいじゅう」たちにキャラクターを与え,孤独や苦悩を与えることで,このファンタジーをただの現実からの逃げ場にはせず,むしろ現実と同じくうまくいかない場所にしています。ただし,その中で主人公は「王」という指導者的役割を与えられることで,「親」を疑似体験しています。親として現実世界では「子ども」である自分の分身たち「かいじゅう」を見ているのです。あばれんぼうで,わがままで,さみしがりやの「かいじゅう」たちを。

「かいじゅう」というファンタジーを通すことで,少年が自分を客観的に見られるようになるための成長のプロセスを的確に描いていました。

かいじゅうたちの細やかな作りとドハデなアクション,主人公の可愛らしさ,現実とファンタジーのバランス。いろいろとバランスの良い映画だったと思います。

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スウィート・ノーベンバー

Sweetnovember
★★★☆☆
2002/アメリカ
キアヌ・リーブス
シャーリーズ・セロン

とてもきれいな映画だったということは確かです。明るさと,優しさと,悲しさと,エゴ,人間の感情をすべて描ききっている気がします。

答えのない人生の課題に対して誤解を恐れずにある種の答えを出している映画です。「立ち向かわないこと」「目をそむけること」がとらえ方によってはもっとも「立ち向かうこと」になる,という矛盾。誰もがそれに納得する必要もないし,私も納得できなかったけれど,こんな答えもあるのかもしれない,と思わされました。

自分の本当の望みを知っていることは大切だけれど,その望みに縛られて身動きのとれなくなってしまった主人公サラがの決断がやり切れません。仕事人間のネルソンを批判し,変えようとするサラと,ずっと逃げ続けてるサラを非難せず,受け入れるネルソン。実は自分の価値観を押し付けているのはサラであるという転換がすばらしい。これからネルソンはどうやって生きていくのでしょうか。

いろいろなことを考えさせられました。

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インビクタス

In_2
★★★★★
2009/アメリカ
監督/クリント・イーストウッド
モーガン・フリーマン
マット・デイモン

モーガン・フリーマンってすごい役者です。存在感だけですごいのに、この演技。視線の強さがこの強い役にぴったりでした。マンデラ大統領本人から指名があったと言うことですが、納得です。

内容については、正直、怖いと思いました。この物語を疑問に思わず見られる人が多いならば、怖いです。

ストーリーとしては人種差別の横行する南アフリカの人々にアメフトで一体感を持たせる、というものです。スポーツが黒人、白人の壁を取り除き、誰もを喜ばせる。黒人の少年と白人のタクシードライバーが一緒にアメフトを観戦する様子は感動的でした。

でも、これってナチスがオリンピックを利用したのとどう違うんでしょう?
もちろん、目的は大きくちがうのかもしれませんが、「スポーツを政治に利用する」という事実は同じです。人々を洗脳して、本来の問題から目をそらさせる政治手腕。マンデラさんの理想国家が「たまたま」現代社会が求める理想に近かったから、感動ものになっていますが、こうやってコントロールされる可能性があるということを私たちは知っていなければいけません。

私たちは常に、自分の頭で、慎重に、ものごとを見極めなければいけない。この事実を痛感しました。深い映画でした。

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やさしくキスをして

Yasashiku
★★★☆☆
2004/イギリス/イタリア/西ドイツ
監督/ケン・ローチ

宗教って、なんだろう。

イスラム教の男性と、キリスト教の女性。信じるものが違う、ということが愛し合う2人を隔てるパワーに圧倒されました。日本にいるとあまり感じることのない信仰のパワーに改めて気付かされた気がします。

特にこの映画では宗教の2つ面を描いていた気がします。個人の心を縛るものと、社会を縛るものです。人の心を縛り付けて、内部から身動き取れなくすると同時に、社会制度に根を張った宗教が外部から圧力を加える。何かを信じることは、それ以外を信じないと言うこと。排他的になること。

信じることが、人を支えることもあれば、人を破滅させることもできる。ならば、私はそんなものいらない、と思うのですが、なぜ宗教はなくならないのでしょう。

私は、自分自身と、自分の愛する人を信じて生きていきたい。他はいらない。

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ある公爵婦人の生涯

Aru
★★☆☆☆
2008/イギリス/イタリア/フランス
キーラ・ナイトレイ

中世ヨーロッパの雰囲気の中にキーラ・ナイトレイがいる、ということで「プライドと偏見」を思い出しました。が、出来は雲泥の差です。映画自体のボリュームに乏しく、実話を元にしているせいなのか、ラストもすっきりしません。主人公の「自分だけが苦しんでいる」という自己中心的な感情に嫌気がさしました。

奔放に振る舞っているつもりでも、その時代の枠の中でもがいているだけの孤独な女性。その哀れな感じは出ていた気がします。主人公も、その母も、夫も、全員が社会の作った檻の中で苦しんでいる。社会制度が悪い、という結論でしかないのでしょうか。

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ベッドタイムストーリー

Bedtime
★☆☆☆☆
2008/アメリカ

ディズニーの子ども向け映画、というレッテルがぴったりです。大人も楽しめるタイプじゃなくて、子どもも楽しめない感じ。

子どもが語るストーリーが現実になっていくというアイディアは面白いが、うまく生かせていない。勧善懲悪タイプで、子どもの教育上も良くない気がする。ラストシーンもアメリカの資本主義っぽくてイヤらしかった。

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チェンジリング

Change
★★★★☆
2008/アメリカ
監督/クリント・イーストウッド
アンジェリーナ・ジョリー

何がすごいって、アンジェリーナ・ジョリーの演技がすごい。押さえた冷静な強さと、爆発するエネルギーと、静かに泣く視線と、粘り強さ。アンジェリーナ・ジョリーをこんなにすごい人なんだ、と初めて思いました。

やはり見せ場は母の強さ。『フライトプラン』のジョディ・フォスターに通じるものがあります。全ての人から「あなたの記憶が違う」と言われても、自分を貫く、という試練はきつい。

一方で、ストーリーにはちょっとがっかりでした。「渦巻く陰謀」みたいな予告だったわりに、スケールが小さい。穴だらけの組織で、力ずく。こんな体制でよく警察が成り立っていたな、という感じです。

しかし、それにしても、これが実話だというのは怖いですね。ロス市警と言えば、『スピード』のキアヌリーブスのイメージですが、こんな汚職だらけのどろどろ時代があったことに驚きました。

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タロットカード殺人事件

タロットカード殺人事件
★★★★☆
2006/イギリス
監督/ウディ・アレン
スカーレット・ヨハンソン

タイトルを見てもポスターを見てもミステリー臭がプンプンしているのに、非常にできのいいコメディでした。死に神とか出てきちゃうあたり、ふざけすぎてる感じがいいです。殺人事件の容疑者に近づいていくのに、その人に恋をしちゃうスカーレット・ヨハンソンの馬鹿そうな演技やウディ・アレンのところかまわず手品をしちゃうダメなおじいさんっぷりが笑えます。2人とも結構癖のある演技なのに、嫌みがないのが不思議でした。

この2人がタッグを組んだ前作、『マッチポイント』は、今作と設定が似ていて、お金持ち貴族と一般庶民の対比がはっきり出ています。それにも関わらず、シリアスからコメディへ、皮肉から哀愁のある笑いへとテイストは180度変わっています。どちらが好き、とは簡単に言い切れないぐらいどちらも見応えのある映画です。

2008年最初に見た映画としては大当たりでした。

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トリスタンとイゾルデ


★★★☆☆
2006/アメリカ

いろんな事できっかけを失って、すれ違っていく2人。嘘をつくことがさらに嘘を呼ぶんだなーと当たり前のことを感じました。

それにしても、若いってこんなに馬鹿なことなんでしょうか。仕事と恋愛、どっちつかずで、自分が決めたことすら守れない、守れない決心なら最初から決心しなければいいのに。守れない約束ならしなければいいのに。そう思ってしまいます。でも、それが恋愛なのかも。バカになるくらいの恋愛がしたいです。

ロマンチックすぎるけど、「愛がなければ人生に意味はない」っていうのは真実だと思います。トリスタンもイゾルデもそんなに美男美女じゃなかったのが良かったです。普通のカップルでした。

イギリス、アイルランドの自然が本当にきれいで、それだけでも観る価値はあります。ストーリーはそんなに面白くありませんが、それなりにロマンチック。そしてセクシー。

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シャーロットのおくりもの

Charlotte
★☆☆☆☆
2006/アメリカ

『ベイブ』の焼き直し、しかもレベルが極端に下がっている、といわざるを得ません。私は『ベイブ』は大好きでしたが、この映画は理解できないと言うより嫌いです。子ども向けにしても子どもを馬鹿にしすぎてないか?結局何を訴えたい映画なのかがよくわからなかったし、ストーリーとしても映像としてもたいしたことがない、としか言えません。

そもそも、主人公のぶたを純粋に描きすぎなのは許すとしても、その他の動物の描き方が差別的すぎます。子どもに悪影響を与えるんじゃないでしょうか。

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