インビクタス

In_2
★★★★★
2009/アメリカ
監督/クリント・イーストウッド
モーガン・フリーマン
マット・デイモン

モーガン・フリーマンってすごい役者です。存在感だけですごいのに、この演技。視線の強さがこの強い役にぴったりでした。マンデラ大統領本人から指名があったと言うことですが、納得です。

内容については、正直、怖いと思いました。この物語を疑問に思わず見られる人が多いならば、怖いです。

ストーリーとしては人種差別の横行する南アフリカの人々にアメフトで一体感を持たせる、というものです。スポーツが黒人、白人の壁を取り除き、誰もを喜ばせる。黒人の少年と白人のタクシードライバーが一緒にアメフトを観戦する様子は感動的でした。

でも、これってナチスがオリンピックを利用したのとどう違うんでしょう?
もちろん、目的は大きくちがうのかもしれませんが、「スポーツを政治に利用する」という事実は同じです。人々を洗脳して、本来の問題から目をそらさせる政治手腕。マンデラさんの理想国家が「たまたま」現代社会が求める理想に近かったから、感動ものになっていますが、こうやってコントロールされる可能性があるということを私たちは知っていなければいけません。

私たちは常に、自分の頭で、慎重に、ものごとを見極めなければいけない。この事実を痛感しました。深い映画でした。

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ある公爵婦人の生涯

Aru
★★☆☆☆
2008/イギリス/イタリア/フランス
キーラ・ナイトレイ

中世ヨーロッパの雰囲気の中にキーラ・ナイトレイがいる、ということで「プライドと偏見」を思い出しました。が、出来は雲泥の差です。映画自体のボリュームに乏しく、実話を元にしているせいなのか、ラストもすっきりしません。主人公の「自分だけが苦しんでいる」という自己中心的な感情に嫌気がさしました。

奔放に振る舞っているつもりでも、その時代の枠の中でもがいているだけの孤独な女性。その哀れな感じは出ていた気がします。主人公も、その母も、夫も、全員が社会の作った檻の中で苦しんでいる。社会制度が悪い、という結論でしかないのでしょうか。

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ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~

Viyon3
★★★★☆
2009/日本
松たか子
浅野忠信
広末涼子
妻夫木聡
室井滋

大人になれない夫婦の話でした。自分自身へのいらだちや焦り、思い通りにいかない歯がゆさ、情けなさ。全ての人間は色々なものを抱えながら生きているのだとと思いますが、それをうまく受け止められず、「自分だけが不幸せである」と思い込んでしまうのが、思春期の子ども。主人公の大谷は言わば「永遠の思春期」なのだと思います。だからこそ、作家として大成しているんでしょう。思春期の子どもなんて、自意識が強いだけの一生ノナカで最も恥ずかしいシーズンです。ずっとそんな精神状態から抜け出せずにいたら、確かに生きていくのがイヤになるでしょうね。

そんな大谷を支え続ける妻。完全にお母さんですね。大谷を甘やかしすぎですが、2人で完結していて、受け入れ合っているという意味では、互いに寄りかかっているのだと思います。大谷を甘やかすことで妻も満たされている。辛い状況に甘んじている悲劇のヒロイン役に浸っている。

Viyou_2

そう見ると、一番かわいそうなのはこの夫婦に巻き込まれる周りの人たちです。周囲には迷惑をかけない、という最低限を守れていないという意味で、やっぱりダメ夫婦ですね。

でも、ちょっと羨ましい。2人が互いを愛していて、心の底では許し合っているからかもしれません。

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いけちゃんとぼく

Ikechan
★★★★☆
2009/日本
原作/西原理恵子

常に自分を見守ってくれて、肯定してくれて、叱ってくれる。いけちゃんがいるから毎日を頑張って生きていける。

ちょっとドラえもんがのび太に果たしている役割に似ているな、と感じました。しっかり1人で生きていけるように見守るポジション。最終的にはゴールは自分が居なくても自立していけるように育てること。そんな切なさが前面に出ている気がします。蒼井優の吹き替えが切なくてはまり役でした。

この切なさは、親も一緒なのかな。うまれたばかりの子どもには母親が全て。庇護者がいないと生きていけない。それが、いつの間にか自分の社会を見つけて、巣立っていく。親って切ないですね。

親子ものではないけれど、見守られるあたたかさと、見守る切なさが混ざった、そんな映画でした。

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おばあちゃんの家

Granma
★★★★★
2002/韓国

大好きな映画です。何度見ても泣ける。ので、今回もまた泣いてしまいました。おばあちゃんに会いたくなる、そして、おばあちゃんに優しくしてあげたくなる映画です。

途中までは、ちょっといらいらします。主人公のサンウのワガママっぷり、おばあちゃんに対する無礼さ、やりたい放題のあまったれ。でも、おばあちゃんとの交流を通してサンウがどう成長するのか、映画自体が優しく見守っているみたいです。子どもを育てるのは、周りの視線なのかもしれません。

エンディングで、その成長っぷりをしっかり見せるのが、うまいな、と思います。韓国映画らしい笑いも詰め込んだ、愛情あふれる映画、買っても良いくらいです。

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ウルトラミラクルラブストーリー

Ultraqmiracle
★★☆☆☆
2009/日本
監督/横浜聡子
松山ケンイチ
麻生久美子

雰囲気はすごく良かったです。津軽弁の会話も耳に気持ちよかったし、流れる時間も独特で、画面が瞬間的にきれい。松山ケンイチの演技がすごくて、びっくりしました。あんなにわざとらしい役をあんなに自然に見せるのがすごい。

ただ、コンセプトがよくわかりませんでした。メッセージ性がありそうで、実はないんじゃないか。1つ1つのイベントや行動に意図やつながりがない。うーん。

確かにラストは衝撃でしたが、それだけ。つまり、好きじゃなかったってことです。

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歩く、人

歩く、人(DVD) ◆20%OFF!
★★★★☆
2001
緒形拳
香川照之
大塚寧々
林泰文

なんだか、北海道に住んでいたときのことを思い出す映画でした。増毛はその頃好きだった人と一緒にドライブに行った場所。鮭もその人との思い出の魚(?)です。今も吹っ切れてないところがあるので、なんだかブルーになりながら観ました。内容も重たかったのでちょうど良かったかも。

演技やカメラワークは自然体を心がけていたのかもしれませんが、逆にそれが不自然なところもあった気がします。それでも、その無理な自然な感じとか、人と人が一緒にいるのに無口な感じが居心地の良い映画でした。

緒形拳さんがひたすら歩くシーンが、とても良いです。北海道の雪道が懐かしい。交差点の向う側がみえなくなるくらいの雪の山が懐かしい。ちゃんと防寒してると、冬の北海道も別に寒くはありません。守られていることを感じられて逆に暖かい。気もしたり。

香川照之がイヤな感じですごいなぁと思いました。『ゆれる』と同じ兄役ですけど、役割は逆で自由奔放な兄。でも、苦しんでるのが伝わってきました。自由って重たいな、などと思ったり。だからといって、弟が幸せそうなわけでもない。お父さんだって、幸せそうじゃない。家族って、実は幸せなもんじゃないのかもしれません。少なくとも、幸せだって事は家族を成立させる条件ではない。どうしてもうまくいかない人間関係のある家族も、家族として成り立っていて、かすかな幸せの可能性を含んでいる。そんな気がしました。

誰にも共感できないことで、全員に共感できた気がします。

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奥さまは魔女

奥さまは魔女
★★☆☆☆
2005/アメリカ
二コール・キッドマン

二コールがかわいい!ってことに尽きる映画だと思います。それ以外の魅力は、何でしょうか。男優は、なんでこの人?ってくらいにかっこ悪かった上に、役としてもかっこ悪い演技ばかりだったので、がっかりです。テレビドラマの「奥さまは魔女」を見ているわけでもないので、懐かしくもない。いいとこなしな気がします。

細かいことを言えば、どこまで魔法で解決できるのか、という法則がイマイチ見えてこないのが、不満でした。ただのラブコメなので、そういう設定はいらないのかもしれませんけど。

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あおげば尊し

あおげば尊し
★★★★☆
2005
監督/市川準
原作/重松清
テリー伊藤
薬師丸ひろ子

死を見つめることはとても難しいです。

例えば、「なぜ人は死ぬのか」という単純な問いに答えるためには、その人がどんな答えを期待しているのかを汲み取らなければいけません。生物的な答えも、進化論的な答えも、宗教的な答えも、理論的な答えも、感情的な答えも、そのとき納得できるものだけが、「正解」なんじゃないでしょうか。

身近な人が死んだことがないので、私には「死」の悲しみは想像することしかできません。そして、自分がどんな風に悲しむのかは、いくら想像してもやっぱり分かりません。

映画中に、「悲しくない人は死に向き合ってはいけない」という台詞があります。でも、核家族化も進む現代では、本当に悲しい死に出会わないまま大人になることの方が多い気がします。悲しくなければ死に触れてはいけないのだったら、子供にとって、死はとても遠い世界の話になってしまうんじゃないでしょうか。もっと、死に触れることのほうが健全な気がするのですがどうでしょう。

市川準監督の音のセンスとカメラワークがすごく好きです。台詞のない演技を多用していて、静かな映画でした。

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UDON

Udon
★★★★★
2006
監督/本広克行
ユースケ・サンタマリア
小西真奈美

最高!映画館で笑い転げてきました。意味のない描写が色々あって、面白くて、こういうテイストの映画としては大成功だと思います。

ロボットプロダクションの、「summer timemachine blues」から引っ張っているネタもてんこ盛りで、両方見ると2倍美味しい感じです。

音楽に関しても、ずっとビゼーのカルメンで通してあるのがかっこよかったです。アレンジもかっこよかったし。途中、Queenとカルメンを混ぜたみたいな発展があってそれも面白かったです。ウルフルズの「バンザイ」はいらなかったな~、と思います。

ちょっとだけ私には合わなかったのは、わざわざ泣かせにかからなくてもいいのにな~ってところです。私には笑いだけで十分でした。

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